第36章 抱擁
「……いっ…た……っ……!」
「俺の方が痛ぇよ、この――――――じゃじゃ馬が。」
至近距離で視線が絡む。
涙を堪えるのに、必死だった。
「てめぇのその無駄な度胸は一体どこで――――――。」
リヴァイさんの言葉が遮られるほどに、その首の後ろに両腕をまわして、強く強く抱きついた。
その首筋に顔を埋めて大きく息を吸い込むと、リヴァイさんの匂いがする。
大好きな匂い。
心の底から安心する、私の居場所。
「リヴァイさん。」
「……なんだ。」
「リヴァイさん、リヴァイさん………。」
首筋に顔を埋めたままぐりぐりと頭をゆすり、何度もその名前を呼ぶ私の髪を、呆れたようにため息をつきながら撫でてくれた。
「なんだよ。頭でも打ったのか。」
「―――――大好き。」
「………あぁ………くそ………、てめぇ今夜覚悟しとけよ………。」
その言葉にぎょっとして、顔を上げてリヴァイさんの顔を見つめる。
どうか、バレませんように。
そんなことを心の中で呟いた。
「――――帰るぞ。俺たちの居場所に。」
「はい!!」