第36章 抱擁
その後、会議では現状を鑑み、経済の衰退を防ぐためにも規制を解くことが決まった。
2週間後には、各区の往来の規制も全面的に解除されることになった。
私はその事実を調査兵団に伝えると同時に、兵団に戻る日程について相談を持ち掛けた。
その手紙への返事には一言――――――――
“待ってろ、迎えに行く リヴァイ”
と書かれていた。
「……リヴァイ、さん………。」
無意識にその名が口からこぼれ出た。
「迎えに行くって……いつ……?こっちも、用意とか、仕事の調整とか………ある、のに……。日にちくらい、言って……くれたって………。ほんとに………いつも、わかりにくいんだから………。」
手紙にぽた、ぽたと次から次に滴が落ちては、滲んでいく。
何度、会いたいと、帰りたいと思っただろう。
ようやく会える。
でも、絶対に知られてはいけない。
ロイとのことは――――――私がこの秘密を墓まで持って行く。
私の胸の中では、会いたい気持ちと、わずかな不安がせめぎ合っていた。