第4章 再会 ※
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俺の頭に浮かぶイザベルとファーランは、いつも最期の時だ。頭に焼き付いて離れない。
エイル…いや、ナナの言う「悲しむ」が、どういう感情かわからなかった。
あいつらの最期の瞬間、俺の頭に浮かんだのは、ただただ目の前のそれに対する憎悪と怒り。
そして自分への絶望と後悔。
それに飲み込まれた。
俺はナナに抱きしめられながら、「悲しい」という感情を探す。
「………お二人は、どんな方だったんですか……?」
「赤毛のガキ……お前と同じくらいの歳の……イザベル。狡賢く、生意気なファーラン。」
「イザベルさんと……ファーランさんは、リヴァイさんの事を何と呼んでいたんですか?」
「……兄貴。……どこに行くにも着いて来て……うぜぇ奴らだった……。」
それからナナは、静かに俺の中のイザベルとファーランの記憶を呼び起こしていった。
イザベルの笑った顔、大声で歌う姿。
ファーランの悪だくみをする顔、振り返るといつもそこにある、生意気な目。
ああ、もうあの姿を見ることはできない。
声を聞くこともできない。
触れることも。
俺をその目に映すことも。
そう思った時、頬に一滴の涙が流れた気がした。
「……………。」
俺の中のイザベルとファーランが、息を吹き返した。ほんの少しずつだが、笑った顔が、声が再生されていく。
「…………ナナ。」
「はい………。」
「久しぶりに、あいつらの笑った顔を思い出せた。」
「………!」
ナナは俺を抱いていた腕を解いて体を少し離し、潤んだ目で俺をまっすぐに見た。
そして、安堵した笑顔を見せた。