第35章 疫病
「―――――この奪還作戦の死亡率を見ましたか?国民だって馬鹿じゃない。王政への不信感はもはや増幅する一方だ。今一番あなたたちが得なければいけないのは、“国民の信頼”だ。違いますか?」
「――――――以前の君とはまるで違う―――――――君を、変えたのはなんだ?」
「――――――家族。」
その返答に、私はこらえきれずロイの肩に顔を埋めて泣いた。
「―――――いいでしょう。その条件で合意だ。………ナナさんも、僕との約束を守ってくれたことですし。」
ダミアンさんは柔らかく笑った。
私たちは驚きが隠せずぽかんとしたあと、顔を見合わせて固く抱き合って喜びを分かち合った。
「――――――あなたたち姉弟は、実に歪だと思ったが―――――お互いの歪さが上手く噛み合えば、その力は実に強いものになるのですね。」
「ダミアンさん………ありがとう、ございます………っ………!」
「――――――そうとなれば、早く動こう。改めて詳しく相談させてください。」
ダミアンさんは改めて病院へ足を運んでくれることになった。そこで詳しく今後の対策を練る約束を取り付けて、私たちは帰路についた。