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【進撃の巨人】片翼のきみと

第35章 疫病




――――――――――――――――――

「――――――出始めたな。」

「―――――ロイの、言う通りだった……。ロイのおかげで各地区にかなりの量の医療物資は支給できたけど―――――――ここからが勝負ね………。」



奪還作戦が終了してから2週間。

ロイと共に、各地から上がってきた受診者数とその症状の報告資料に目を通す。



「罹患してすぐ死に至るような致死率の高さはないようね……。」

「あぁ……でも油断できない。―――――ライオネル公爵に会おう。」

「え………?」

「僕たちでできることはしれてる。強制力をもってして国民全体に感染を予防するための行動を刷り込むためには、権力を使わなきゃ無理だ。」

「でも――――――。」



ライオネル公爵は、ロイのことをよく思っていない―――――――果たして、話が通じるのだろうかと不安に駆られたけれど、ロイの言葉の表情にその不安は吹き飛んだ。







「大丈夫。きっとうまくやる。僕を信じて。」






ロイの才能が花開いていくようだ。

私よりも数段冷静で、状況判断力があり、迷いがない。

その目には今まで見たこともないほどの力が宿っている。




―――――私の、誇るべき弟。




「―――――分かった。」



ロイの言う通り、私からライオネル公爵に連絡を取った。

相手が相手なだけに、父は若干の動揺と不安げな表情を見せたが、最後は私たちの判断を信じてくれた。

父も、変わろうとしている。

医療はビジネスだと言い切ったあの頃からは考えられないほど寛容に、私たちのことを信じようとしてくれている。

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