第34章 奇行
「―――――ひっ……。」
オルオが小さく息を飲んだ。
「おいオルオ、奴は動きが早い上に気持ち悪ぃほどリーチが長げぇ。なかなか厄介だ。――――――掴まれるなよ。ゆっくり旋回して森まで誘う。そこでエルド達と囲って仕留める。」
「は、はいっ………!」
オルオと共に、奴に背を向けて駆け出す。
ただし、ほんの少しずつ左に巻く。
それを察したのか、横目で見るとハンジ・エルドが指揮をして奴を囲うように配置についた。
俺とオルオの代わりに、今度はリンファとディータが見張り役に代わる。
抜け目ねぇ。いい班だ。
森に差し掛かると、俺の合図でオルオと共に立体機動に移る。
「―――――通常種のようだな。討伐する。」
「はいっ……!俺に、やらせてください……!」
「―――――頼んだ。」
オルオの戦闘を許可すると、オルオは初の巨人との戦闘にも関わらず立体機動を低空で駆使して奴の足の腱を切り、奴は地面に伏した。
だが、その無駄に長い手をばたつかせて抵抗を試みている。
その手が、オルオの立体機動のワイヤーを絡めとった。その瞬間、オルオの態勢がガクンと崩れ、地面に叩き付けられたオルオを、奴が掴んだ。
「うわぁあああっっ………!」
奴が口を開けてオルオを食おうとするが、問題ない。
今すぐ削げる。
すでに奴の頭上でその項を切り込もうとした時、一瞬巨人がピタ、と動きを止めて俺を見た。
―――――そして、オルオを解放し、自らの手で項を庇った。
「なに―――――――?!」
「―――――奇行種……っ?!」
ハンジの言葉が耳に入る。
俺が体勢を変え奴の両手両足を切り落とすと、すぐにハンジとロキが捕獲網で奴の体を確保した。