第4章 再会 ※
「エルヴィン、ハンジが呼んでるぞ。急用だそうだ。」
「なに、ハンジが?」
「ああ、向こうの階段を降りたところだ。」
「そうか。ではナナさん、誘っておいて申し訳ないのだが……。」
「い……いえ、……お気になさらず………。」
震えた声で女が答える。
「……君とは、必ずまた会える気がしてならない。その時は、ぜひあなたの話を聞かせてください。」
エルヴィンは軽く会釈をして、その場を去って行った。
今、こいつを「ナナ」と呼んだか?エイルでは……ないのか。
俺はゆっくり振り返ると、そこにはあの頃と同じ、濃紺の大きな目があり、涙で潤んでいた。
「リ……ヴァイ……さ………!」
ああやっぱりそうだ。
エイルは信じられないとばかりに両手で顔を覆い、涙を堪えているように見えた。
「よぉ。久しぶりだな。」
「は……い……っ………!」
「………なに泣いてんだ。」
堪えきれなくなったのか、零れ落ちる涙を拭いながら俺を見上げる。
目線が近くなったな。
当たり前か……もう何年も会ってなかったんだ。
「ずっと………会いたくて………!まさか、会えるなんて………!」
「……わかったから泣くな。……外、出るか。」
「はいっ!」
俺はテラスに向かって歩き出した。
あの頃、いつも後ろから聞こえていたパタパタという足音は、華奢なヒールがフロアを鳴らす甲高い音に変わっていた。
一定にならない音から、豪勢な飾りのついた華奢なヒールを、履き慣れていないことがわかる。
俺は振り返り、手を差し出した。
「………転ぶなよ。」
「………!」
エイルは少しはにかんだ笑顔で、俺の手を取った。