第4章 再会 ※
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本当に面倒臭ぇ。
エルヴィンの命令により、俺はクソほど興味のない王宮での夜会に連れてこられていた。
『お前は貴族のご婦人方にえらく人気だからな。せいぜい営業して、壁外調査の費用を稼いできてくれよ』だと。香水臭ぇ豚みてぇなババァの相手なんざ、ごめんだ。
入団してすぐの頃は、ゴロツキだのなんだの色々と言いやがった奴ら。
壁外調査から戻ってから、どこからか『最強の兵士』だの、うぜぇ噂が立ってからは、手のひらを返したように英雄扱いだ。本当に気に食わねぇ。
俺は早々にフロアの隅の壁ににもたれかかり、酒を飲んでいた。その時、遅れて入って来た女の後姿に、ドクンと心臓が鳴った。
あの髪の色……白銀の髪……どこにでもいるもんじゃねぇ。俺はその女の後ろ姿を目で追った。
おいおい、さっそく豚みてぇな男に絡まれてやがる。
「ちっ………。」
割って入ろうと歩き出した時、エルヴィンが助け舟を出したのが見えた。あっけなくエルヴィンは豚を追い返し、何やら女と楽しそうに話している。
おい待て……もしあの女がエイルだったら………こいつらは、同じ物を同じ目線で見ることができる奴らだ。
俺とは違う。
こいつらが出会ったら、どうなる?
同じ夢を語り、手をとり、共に歩むのか?
………俺ではなく。
自分の中に、感じたことのない仄暗い感情が一気に沸き上がる。
その時、エルヴィンがその女の手を取り、手の甲に口づけた。そのまま外に連れ出そうと、テラスに向かおうとしていた。
気が付いた時には、エルヴィンと女の間に割って入っていた。