第33章 宥和
「――――いっしょ、に、やり直せ………る………?」
「!!!」
「僕は………弱い、か、ら………ひとりじゃ、無理だよ…………。」
「当たり前でしょ……あんたは私の―――――半身……なんだから………っ………!あんたがもういいって言うまで……っ……側に、いる………!」
薄れゆく意識の中で、姉さんが僕を強く強く抱きしめて、愛してると言った。
あんなに何度も言わせた言葉なのに、今までのどれよりも僕を抉る。
そうか、愛って重いんだ。
僕の薄っぺらい心は、その重みに押しつぶされそうだ。でも、悪くない心地だ―――――――
目が覚めると、僕は病院の一室のベッドに横たわっていた。
僕のベッドの両端には姉さんと、父さんと―――――わざわざ駆けつけたのか、ハルも突っ伏して眠っていて、また生ぬるい液体が頬を伝った。
十数年育ててきた仮面をまだすぐ完全に脱ぐことはできないけど、泣くこと、笑うことが出来るようになった僕は、少し変われるかもしれない、そう思えた。
しばらくして、ぴく、とハルの手が動き、ゆっくりと上体を起こして僕を見た。
「―――――おかえりなさい、ロイ様。」
涙を流しながら安堵の笑みを見せるハル。
僕に殺されかけたくせに、そんな嬉しそうな顔をするのか。
―――――赦して、くれるだろうか。また、やり直す僕のことを見守って、叱って、受け止めてくれるだろうか。