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【進撃の巨人】片翼のきみと

第33章 宥和




「―――――なんなら父さんも試してみる?なかなか具合が良いよ。頭だけじゃなくて身体もイイなんてすごいお得だよね。オーウェンズ家の誇る最年少医師は用途がありすぎて困っちゃうな。」



父を横目に高笑いをして見せる。

さあ、どうする?僕を切り捨てればオーウェンズは間違いなく終わる。

その覚悟があんたにあるのか?妻よりも、娘よりも、僕よりも何より家が大事なあんたに。

―――――どっちに転んでも、結局はあんたに失望するんだけどね。






バチンッ





耳元で弾けるような音と衝撃、じわじわと血液が頬に集まる感触。父の右手が僕の頬を強く打った。






「―――――お前は、自分がどれだけ非人道的な事をしているのか、分かっているのか……っ………!」







「非人道的なことってどれ?……姉さんを犯したこと?ハルを悪戯半分で殺そうとしたこと?母さんを巨人の餌にしようとしてること?―――――それとも、貴族のババァ達に身体を売ってこの病院を大きくしたこと?」







「――――――………っ………。」







父さんは信じたくなかった、と言わんばかりの絶望を張り付けた表情で僕を見た。

なんだよ、僕の恩恵を受けてこの病院は大きくなったのに、今更それを汚いと罵るのか。

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