第33章 宥和
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さて今夜はどうやって姉さんと遊ぼうか。そんな風に思いながら僕の秘密の部屋の鍵を開けると、そこには誰もいなかった。
「―――――父さんか。………僕に、歯向かう気………?」
冷めた怒りが沸くのを感じる。
僕の言いなりでしか病院を大きくできなかった能無しが、まさか姉さんを庇うとは想定外だった。
まぁいいか。どうとでもなる、また綺麗に丸め込んでやればいいんだから。
もしくは――――――もう用もないから、死んでくれてもいいかな。
僕は院長室に向かった。
「―――――父さん?」
扉をノックして呼びかける。
「ロイか。―――――入って構わない。」
「――――失礼します。」
「………ロイ。ちょうど話があったんだが。こっちに来なさい。」
いつも通り―――――父さんに言われるとおり側に寄って、笑顔を向ける。
「―――――僕のオモチャ、取り上げないでくれる?」
「―――――オモチャとは、ナナのことじゃないだろうな?」
「そうだよ。見たんでしょう?僕の秘密の部屋。」
父さんには見せたことがなかった笑みを向けると、父さんはわかりやすく動揺した。
そりゃそうだろう。
今まで言う事をなんでも聞いて来た僕の、見た事もない冷めた笑みは怖いはずだ。