第33章 宥和
「――――ロイが、やったのか………?お前をここに閉じ込めて――――――……まさか……。」
「―――――――……私が、悪いんでしょう?そう、こんなことになったのも………っ……、ロイをこんな風に歪ませてしまったのも、どうせ、全部私が―――――――。」
もう情緒はぐちゃぐちゃだった。
ぼろぼろと涙をこぼしながら自暴自棄に訴えた。
――――どうせ父には届かない。
そう思ったのに。
次の瞬間、父が強く私を抱きしめた。
「――――――…………。」
「すまない―――――………っ、すまない、ナナ―――――………。」
父に抱きしめられたのは、もう何年振りかもわからない。
ただ思い出の中の父よりもその身体はとても細く感じて、ただ一つ変わらなかったのは、父のつけているオーデコロン。その香りが、私をあの頃に引き戻した。
子供の頃のように泣きじゃくって、気付けば私は父に助けを求めていた。
「――――――おとうさま、おとう、さま……っ………、たすけて………っ………!」
「なぜ、なぜこんなことに―――――……私はどこで何を間違えた――――――?」
頭がぼんやりとする。
何も考えられない。
けれどどうやら父は私をロイの部屋から連れ出し、別室で匿ってくれたようだった。
ベッドに横たわる私の側に腰かけ、その手を握ってくれている。しばらくまともに眠れていなかったことを、そういえば思い出した。父の手の温かさに誘われるように、私は眠った。