第33章 宥和
「………リヴァイ………?あなたまさか、調査兵団のリヴァイ兵士長、ですか……?」
ナナの母親は、驚きを隠せない様子で俺の手をとった。その手は華奢だが、似つかわしくなく酷使されて傷だらけだ。ナナのそれを思わせる。
「―――――そうだ。」
「―――――ありがとう―――――。」
「調査兵である以上、仕事だ。礼を言われる筋合いはない。」
「………いいえ。あなたがいてくれて、良かった――――――――。」
ナナから聞いていたのか、俺のことを見てナナの母親は涙ぐんだ。その様子を見て、ミケも少し驚いたように目を開いた。
「――――――あんたには、大きな恩がある。だから死なせない。」
「………あなたこそ、死なないでください。どうか、どうか―――――――生きて、あの子の元へ帰ってくださいね。」
「―――――ああ。………じゃあな。俺は隊に戻る。………ミケ。」
ミケに目くばせをすると、全て理解した顔で頷いた。
ナナの母親を死なせないでくれと。
ミケなら任せられる。
「……承知した。」
ハンジたちに合流するために馬を駆る。
その手綱を持つ手が微かに震えている。心臓を落ち着かせながらしばらく走ると、遠目にハンジ達が見えた。俺は安堵した。
「あ、おーーーーい!!リヴァイ!!良かった、無事で!!!」
ハンジが大きく手を振った。