第33章 宥和
「あんた―――――――――。」
驚いた。白銀の髪に濃紺の瞳、ナナによく似ている。
―――――いや、ナナが、よく似ているんだ。
母親に。
言われなくてもわかる。端正な顔立ちと、芯の強そうな眼差しがそのままあいつに受け継がれている。
「………ごめんなさい、私の勝手な行動で、お手を煩わせてしまったのなら……謝ります……。でも、もう助からないとしても。死にゆく彼らの魂を、生きている私たちが受け取ることで安らかに眠れるのではないかと、そう思うのです。」
「…………。」
「………意味がないと生きることが辛いように―――――――死もまた、意味を持たなければ、あまりにも辛い。」
「…………。」
ただただその女にナナを重ねて立ち尽くす俺を、その女は不思議そうに見上げた。
「………大丈夫ですか?ケガしているなら、診ますよ。」
「……いや、いい………。」
その時、地面に大きな振動があった。
ミケ達が3体を仕留め、巨人どもが地面に倒れた衝撃だった。
驚いた様子で、ミケが近づいて来る。
「―――――おいリヴァイ、なぜここにいる?」
「―――――たまたま通りかかって、この女が食われそうになっていた。だから助けた。」
「―――――そうか。俺の班の医師だ、恩に着る。」