第32章 佞悪 ※
「―――――ねぇ、愛ってなに?」
「………っ………、ぅあ……っ………!」
「――――――教えてくれないなら――――……このまま、中に……っ……出せば、わかる、かなぁ……っ……?ねぇ……っ、んぁ、気持ちっ……い………!」
「……や、やだっ………それだけは……や、め………!」
さっきまで面白味もなくただ揺さぶられていただけの姉さんの顔が、青ざめて恐怖にひきつる。
あぁ、最高だ。体の中も心も、今姉さんは僕でいっぱいだ。
「名案だよね!……だってさ、僕の子を孕めば……っ、調査兵団なんかに帰れ、ない、じゃない。なんでもっと早く……気づかなかったんだろう……っ……、一生、僕だけのっ………姉さんにするのに、一番合理的な方法……ふ……ぁははっ………。」
姉さんの恐怖心を煽るように、腰を打ち付ける速度を増していく。
脇腹が痛む。
傷が開いて血が滲んでいるけど、それどころじゃない快感が全身を駆け巡って、痛みを凌駕する。
すごい、これがきっと“愛のあるセックス”だ。
「っぁ、っ……やっ、ぁあっ……や、おねが、やめっ……いや、やだぁ……っ……!」
「――――――愛してるよ……っ……姉さん――――――。」
「――――――――たす、けて、リヴァ……イ……さ……っ…………。」
廃人のようにベッドに横たわる姉さんの髪を梳いて、布団をかけてあげる。その目からは涙が零れている。
その瞼にキスを落として、僕より少し小さな体を抱いて眠る。
――――――このまま世界が終わってもいい。
―――――殺したいほど、僕を憎んで。
そして僕を殺して、姉さんも壊れたらいい。
姉さんの為に用意したサプライズは、まだあるんだから。
―――――――さぁ、ゲームを楽しもうじゃないか。