第32章 佞悪 ※
「確かめなくてもいい。私もハルも、あなたの事を愛してる。」
ロイを力いっぱい胸に抱きしめて伝える。
どうしたら伝わるだろう。
今までも、ロイの事を決して愛していなかったわけじゃない。ただ、伝え方を知らなかった。
―――――私はいつも、自分の事ばかりだった。
「―――――信じられないな。証明してよ。」
「―――――えっ………――――。」
ギリ、と力強く手首を掴まれ、気付けばロイの寝ていたベッドに身体を押し付けられていた。
その端正な顔で、私を見下ろす。
「愛の証明。してみせて?」
「……証明…………?」
「試してみようよ、キンシンソウカンってやつ。」
「な、に………言ってるの………?」
「嫌?」
「嫌もなにも…っ、姉弟なのよ……!?」
「あぁ、道徳的なところを気にしてるの?」
ロイはくすりと冷たい笑いを零した。