第4章 再会 ※
「大丈夫ですか?嫌な思いをされたのでは?」
エルヴィン副団長は、私に向き直って優しい言葉をかけてくれた。
「いえ、本当にありがとうございます……。私、こういうことに慣れていなくて……。」
「そうですか……それは、さぞかし怖かったでしょう。」
「いえ……怖くはないのですが………今にも殴ってしまいそうで。我慢するのが限界でした。本当にありがとうございます。」
そう言って頭を下げると、エルヴィン副団長はハハっと笑った。
「えっ?!私、何かおかしいこと言いました?!」
私は真っ赤になって両方の頬を押さえた。
「その美しさで、ずいぶん勇猛果敢なんですね。」
「い、いえ……。」
恥ずかしくて目を伏せた私を見て、エルヴィン副団長は何かを思い出しているようだった。
「珍しい髪の色だ……どこかで……あなたに会ったことがあるような……気がするのです。」
「え………?」
「シガンシナ区の……小さな病院に……いませんでしたか……?……いや、そんなはずはないか……もう十年も前の事だ……。私を庇って大けがをした上官の命を、救ってくれた女性に……よく似ている……。」
「!!それ……母です………!」
私の中で、全てが繋がった。
リグレットさんが庇ったのは、彼だった。
リグレットさんが笑いながら言った、『必ず出会うよ。』という言葉が思い出される。胸が、熱くなった。
出会うべくして、出会ったんだ。
この人との縁を、途切れさせてはいけない。