第31章 罪
何とか一命はとりとめ、ロイは個室の豪勢なベッドで寝息を立てている。
私はそっとロイの病室を出て、父のいる院長室へ向かった。
ベッドに横たわる父は、ひどくやつれている。
「――――――ロイは、無事よ。」
「………そうか。」
「――――――ロイが屋敷の使用人たちを不当に解雇したわ。それで恨みを買った。お父様の権限で、使用人たちの再雇用を決定して。ロイの身動きが取れない間に、私が全て済ませるわ。」
「…………。」
「………何とか言ったらどうです?」
「ロイに、全て任せている。」
「―――――私も姉として向き合う!!!だからお父様も父親として向き合って!!!ロイをこのままにしてはいけないのは、お父様だってわかっているでしょう?!」
私はいつになく感情的に、父に食ってかかった。
「―――――いずれクロエと同じように、私の元を離れていくことが分かっているお前に期待などできなかった。ロイは――――私を受け入れ、期待に応えてくれた。なのになぜ上手く行かない………。ロイは、私の自慢の息子だ………。」
「――――――一度だって、ロイの意志を聞いたことがある?」
「…………。」
「ロイが何をしたくて、何を望んでいるのか、私は聞いた事がない……。………お父様はあるの……?………ロイが人を操ることでしか自分の意志を表せなくなる前に、私たちが……っ、私たち家族が、ロイの意志を、心を、ちゃんと受け止めないといけなかった!!!」
自分への戒めのように叫んだ。
私たち家族は不器用すぎたのだ。
あの荒んだ屋敷の中で、お互いの表面しか見ず、支え合うことも認め合うこともしなかった。