第31章 罪
頭が働かない。
自分の醜さを受け入れることが、こんなにも辛いなんて思ってもみなかった。
日が傾き、辺りが紅く染まるその時間に、ぼんやりとした頭を抱えながら洗濯物を取り込んでいると、門前に馬車がついた。
珍しい、ロイがこんな時間に帰ってくるなんて――――――
ロイが馬車から降り、屋敷に歩みを進めた時、後ろにゆらりと不安定な様子の人影が見える。
あれは―――――――――アンだ。
どうしたのだろうか、不当解雇の申し立てをしに来たのか。
――――――いや、様子がおかしい。
アンは鬼のような形相で、その手には―――――――ナイフが握られている。
「―――――アン!!!!!!何を――――――……っ!」
ロイが私の方を一瞬見て、アンの方を振り返った。
アンは身体ごとロイに強くぶつかり、その手に持っていたナイフがロイの脇腹に、刺さっていた。
倒れ込むロイを見て、アンは震えながら呆然と血にまみれた手を眺めていた。
「ロイ―――――ッ………!」
私はロイに駆け寄り、身体を抱き起した。
その脇腹に刺さったナイフの傷口から、ドクドクと血が流れ出ている。すぐに髪からクラバットを外して、傷口の周りに添えて止血を試みる。
ナイフを抜いてはいけない。
このまま、病院に運ばないと……。
ロイの口から、苦しそうな声が漏れる。
「……うっ………ぐっ………!」