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【進撃の巨人】片翼のきみと

第30章 公爵




「――――やってみればいいと仰ったのは、合意と捉えますよ?」





「―――――は……?」





私の腕は強く引かれ、その身体がふわりと浮いた。

私は抱きかかえられ、ベッドに降ろされる。



「ちが、そういう意味じゃ………っ!」



両手を押さえつけられて、身動きがとれない。



「ここまでのことはしないでおこうと思っていたのですが――――――、合意の元であるなら、据え膳は食わねば女性に対して失礼ですね。」

「なにを勘違いして……!離してください!」



私が身をよじると、胸元から翼のネックレスがキラッと光った。



「………翼。調査兵団の志ですか?癇に障るな、これは。」



ダミアンさんが指で翼のネックレスを掬い、引きちぎろうとするかのように力を込めた。







「やめてっ、それは……っ……エルヴィ―――――。」






言いかけてハッとする。

言うべきではなかった。

私の言葉がエルヴィン団長に厄介な敵を増やしてしまったことに気付いた時にはもう、遅かった。






「―――――まさか調査兵団の団長の名前が出て来るとは思わなかったな。」






ダミアンさんは驚いた表情を見せた。



「―――――――。」



もはや必死で取り繕っていた仮面は剥がれ落ち、どうしよう、どうしようとみっともなく目を泳がせた。

私のせいで、調査兵団に大きな圧力がかかる可能性だってある。




自分のことはいい。

自業自得なのだから。

たとえここで何をされようとも、私の気持ちは変わらない。



だけど、私のせいで調査兵団に危険が及ぶのは、耐えられない――――――。そう思うほどに、目の奥から涙が湧き出て来る。

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