第30章 公爵
私は椅子から立ち上がり、冷めきった目でダミアンさんを一瞥した。
「ごきげんよう。公爵閣下。」
「―――――――残念だ。」
ダミアンさんが顔を上げたとたん、二人の衛兵のような男性に取り押さえられる。
「手荒な真似はしたくなかったけれど、致し方ない。これも約束だ。」
「な、なにするんですか……!離して……っ………!」
「客間にお通しして、鍵をかけておけ。」
「はい。」
「なっ………やめて、帰らせて!!」
バタバタと抵抗をしてみるも、男性二人に抑えられて叶うはずもなかった。
「―――――私が帰らなければ、それこそロイがすぐ迎えにくるはずです。無駄ですよ、こんなことをしても………っ……。」
「――――――その、ロイ君との約束なんですよ。」
「―――――――――え……?」
「君たち姉弟は、実に歪だ。………可哀想に。」
ダミアンさんは憐みの表情を向けた。私は無理やり部屋に押し込められその扉は固く閉ざされた。