第29章 罠
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「――――――ナナからの連絡は、ない……か………。」
王都に着いたという連絡はあった。が、やはりそれ以降は生家でなにやら雲行きの怪しいことになっているのだろう。
王都を発つ予定が分かれば連絡をしてくるはずだ。
いくら心配であろうとも、下手にこちらから文を送るわけにはいかない。―――――長期戦になるな。
これ以上ナナの事を考え始めると手が止まる。私は割り切って執務を始めた。
あのバカげた作戦のほうはまだ順調だ。
これから詰めるべきは、リヴァイ班の動きだ。出立してからどの経路で、どこまでを目指すか。
――――――このリヴァイ班は、リヴァイとミケとハンジ、それからリヴァイ班の兵士以外誰にも、編成したことすら口外しない。極秘のうちに出陣させる。
3ヶ月前、調査兵団の幹部会でその作戦を初めて口にした。
「奇行種の捕獲……だと?」
「………なかなかの難易度だな。」
「すんばらしい案だねエルヴィン!!!滾るなぁぁあぁああ!!!」
「うるせぇぞクソメガネ。」
三者三様の反応だった。無理はない。