第29章 罠
紙袋に入った薬。錠剤だ。
この薬は、一体何なのか―――――――、私はそっと薬を持ち出した。成分を調べようにも、病院にしかそんな設備はない。
私は再び、ロイの元を訪ねた。ハルに何をしたのか、白状させるために。
成分を分析させてくれと言っても、応じるはずがない。
また部外者だからとあしらわれてしまう。それなら―――――――
「――――――ロイ。これ、ハルに飲ませているのはどういうこと?」
カマをかけるしかない。私は何もかも知っているようにロイを尋問した。
「――――どういうことって………?」
「とぼけないで!!ハルの弱みにつけこんで………あなたは何をしようとしているの………?」
「―――――嫌だな、まるで僕が毒でも飲ませているみたいな物言いだね。」
ロイの目が、昏く沈んで凍てつくような冷たさを宿す。
おそらく、これは毒物だ。
毒物でないとしても、少しずつ毎日摂取させることで徐々にハルの身体を蝕む、何か。
「――――今すぐこの薬の成分を白状しなさい………!」
「―――――そうやって、僕を一番に疑うんだ。」
「……っ……それは………!」
「いいよ、自分で調べなよ………。」
ロイは静かな目で何かを諦めたように、私に研究室の鍵を投げ渡した。
ロイの様子は気になるものの、今はそれどころではない。一刻も早くこの薬を調べなければ。
私は研究室に籠った。