第28章 密偵
私が団長室に行くと、リヴァイ兵士長の姿もあった。
なにやら、話し込んでいたようだ。
「―――――すみません、お邪魔でしたか。」
「いや、構わない。………エミリーから謝罪があったか?」
「はい。ご存じだったのですね。」
「あぁ。エミリーが君の弟君に内部の情報を漏らしている証拠を掴み、さきほど本人も認めた。」
「………お気づきかと思いますが、この帰省は………。」
「――――――罠の可能性しかねえな。」
リヴァイ兵士長が低く呟く。
「………はい。」
「ナナは、どうしたいのかな?君の意志を尊重したい。」
「―――――罠でも、私は………行きたいです………っ………!」
「―――――そうか。では、予定通り明日、発ちなさい。」
「………身に余るご厚意、感謝の言葉しかありません………!」
私は大きく頭を下げた。
「明日の朝、出立前にここに立ち寄るように。話は以上だ。」
「はい。」
「…………俺はまだお前に話がある。今から俺の執務室に来い。」
リヴァイ兵士長は顎で行くぞ、と私を促した。
「おいリヴァイ話の続きはどうする?」
「―――――明日でいいだろ?今夜はあいにく、忙しいんでな。」
「………そうか、仕方ないな。」
意味ありげなリヴァイ兵士長の言葉に、エルヴィン団長はやれやれと言った表情でため息をついた。