第28章 密偵
「あぁそうだ。そして例の件だが――――――――。全員に作戦の詳細について周知はできたのか?」
ナナの件が一段落し、次の話題に話を移す。
「あぁ。」
「……編成を聞いた時から思っていたが……ハンジ、ロキ、ディータ、サッシュ、リンファ、エルド、オリバーは申し分ないとして、新兵のオルオを入れることに変更はないのか?本当に?」
「あぁ、パッとしねぇが筋がいい。優れた兵士の中で実践経験を積ませることで、より早く伸びるタイプだ。」
「………なるほど。」
リヴァイは不思議だ。アウラの女心などまるでわかっていなかったのに、人を見る観察眼は鋭い。兵士を育てる能力に長けているのか、私よりもよっぽど兵士の長所短所の本質を見抜き、モチベーションのありかや伸ばしかたまで把握している。
これはリヴァイを兵士長に据えた一つの大きな理由だ。
いくら本人の戦闘能力があろうとも、兵を率いて育てることが出来ない人間に、兵士長は勤められない。ナナと深く繋がるようになって、その能力はより開花しているように見え、日に日にリヴァイのカリスマ性が開花している。
これは、ナナがもたらしてくれた願ってもない大きな変化だ。いい兆候だ、そう思うと自然と口元が緩む。
「………おい、何笑ってんだ、気持ち悪ぃ。」
「いや、うちの兵士長はナナという存在を得て随分良い方向に変わったと思ってな。」
「………あ?」