第28章 密偵
「―――――ナナはおかしいと思えば自分で檻を出て、羽ばたいてくる。理不尽なことにも屈せず、強い意志で必ずここに帰ってくる―――――必要なら、檻の鍵を開けてやるくらいの手助けをするだけでいい。」
「―――――呑気なもんだな。だが同意だ。あいつの意志は強い。」
「それにあの弟君のナナへの執着を見る限り、政治的に利用したいわけではない。手元に置いておきたいはずだ。……そう考えると帰さない方法はシンプルに――――――。」
「――――――監禁か。」
「まぁ、おそらく軟禁だろうがな。我々が全く手の届かないところへ行く恐れはない。取り戻そうと思えば、いつでも取り戻せる。……お前だけではない、私もナナを手放す気はないからな。」
「……ちっ………いちいち勘に障る言葉を選びやがる……これだけは約束しろ。」
「なんだ。」
「奪還作戦が終わって1ヶ月経ってもナナが戻らない場合は、俺が取り戻しに行く。お前が何と言おうと、絶対に。」
「いいだろう。約束しよう。」
リヴァイは納得したように目を伏せた。