第28章 密偵
「自分でも思わないか?自身が変化していると。」
「……まあ、そうだな……。………だがそう思うなら、変な横やりを入れるんじゃねぇよ。」
「仕方ないだろう。一度欲しいと思ったものは手に入れたい性なんだ。例え戦友が愛している人であろうとね。」
「……てめぇのその頭脳に子供じみた欲が絡むと厄介なんだよ。」
いつからからだろうか、リヴァイとこんなやりとりをするようになったのは。二年前には私を殺そうとしていたのに。
少しずつ少しずつ、皮肉を交えつつもこんな他愛もない話をするようになった。
受け止め、警戒心を解かせ、懐柔していく。だが手綱はしっかりと繰り、誰が主かを時折思い知らせる。
――――――まるで野生の獣を手懐けているようだ。
「――――それで、物資の手配は?」
「奪還作戦の方に物入りだからな。若干納期は遅れているものの、十分揃う手筈だ。」
「出立日は決めたのか。」
「あぁ。奪還作戦5日間のうち、3日目の日の入りの時刻だ。」
「………了解だ。決定事項として班員に伝達しておこう。」