• テキストサイズ

【進撃の巨人】片翼のきみと

第3章 岐路




あいつは本当にいかれている。


地下街のゴロツキであった俺達を捕まえて、調査兵団に入団させた。自分の事を殺してやる、と言う相手を身近に置く。

それが計算なのか馬鹿なのかはわからねぇが、俺はエルヴィンを殺すつもりだった。



俺達は地下街から出て、トロスト区近くにある兵舎へと移った。

通常は訓練兵の期間を経て入団するものらしく、俺たちは明らかに異端だった。地下街出身だということも拍車をかけ、うるせぇ輩が突っかかって来ることもあった。

イザベルは奴らに喰ってかかるが、ファーランは問題を起こすな、うまくやろうと言う。それは、その方が裏のことを運ぶのに好都合だったからだ。








「エルヴィンが持っている封書を手に入れる。」







薄汚ねぇじじぃ共の欲を満たすために、俺たちを利用しようとする奴もいた。俺は乗り気ではなかったが、ファーランの言葉がそれの実行を決意させた。



「封書を手に入れれば、俺たちは晴れて地上に出られる。王都で暮らせるようになるんだ。なぁ、王都に行きたくねぇの?」



あんな場所にいなければ、俺もこいつらも、惨めな思いをすることもなかったが、それもすべて過去のことだ。

俺にとって地上での暮らしは、そこまで憧れがあるものではなかった。





だが、俺の脳裏にあの目が浮かんだ。




エイル。




あいつがいる場所。




あいつにまた、会えるかもしれない。




ファーランの話に乗ったのは、そんなささやかな期待からだったのかもしれない。


/ 3820ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp