第26章 落着
気付けば、後ろから口を塞がれ声をあげることもできない。
後ろ手に両手を縛られ、身動きもとれなかった。
3人の男がニヤニヤとした卑しい笑みを湛えて私を取り囲む。
調査兵ではない。一般兵の人たちだ。
力を込めて跪かされた私をアウラさんは冷えた瞳で見下ろした。
「ねぇ、なんであんたばかり特別なの?」
「…………!」
「あんた言ったわよね。『そんな関係じゃない』って。そうやって何も関係ないふりして、私の事馬鹿にしてたんでしょ……?」
アウラさんが乱暴に私の髪を掴む。せめてもの抵抗として、心は折られていないことを示すために、力を込めた視線でアウラさんから目を逸らさなかった。
「―――――綺麗な顔。その顔が、ムカつくのよ……っ………!」
アウラさんの平手が強く私の頬を鳴らした。
「私だって自分の価値くらいそれなりにわかってる。何の取り柄もない、ありふれたただの一兵士でしかない……だからリヴァイの愛情なんて欲しがらなかった。身体だけで、満足しようと何度も思った。愛されなくても……っ、抱きしめて貰えなくても……っ……、でもあんたは――――――……っ……!」
またしても強く、私の頬を打つ。
「――――――私だって!!………リヴァイに愛されたかった………っ!!!」
やりきれない想いをその手に込めるようにして、私の頬を何度も打つ。その目から、涙が今にも零れ落ちそうだった。
ただただ、この人はリヴァイさんのことが好きなんだ――――――。
「………おい、せっかくの美人なんだ。顔はやめろよ。後で萎えるだろ。」
取り巻きの男の1人が、ニヤニヤとしながら言う。
「………そうね…………。」
「ん…………っ………!」
アウラさんの手が私の首を強く締める。
感情の昂ぶりと共に、徐々に力が込められていく。