第26章 落着
私はアウラさんの申し出を断ろうと、訓練後のアウラさんに向かって声をかけた。
「――――アウラさん。」
「………なに?」
「あの、さっきの事ですが。身体に関することなら、医務室で聞きます。必要ならカルテもとれますし、先生への相談も可能です。」
「――――――あんたにしか、話したくないって……言ったよね?」
アウラさんの視線が重く、暗く変わっていく。
「はい、でも――――人気の無いところへは、行きたくありません。話なら別の場所で聞きます。」
私の言葉に心底めんどくさそうな表情をしたアウラさんは、何も言わないまま立体機動装置を外して、倉庫に向かって歩き出した。
「えっ、ちょっと……!話はまだ終わってな……!」
私はつられるようにしてアウラさんの後を追いながら、再度話しかけた。
「あの、本当に………体調が悪そうには見えていて……!心配はしてます、なので……!」
「…………!」
アウラさんは一瞬立ち止まり、涙を浮かべた表情で振り返った。涙を見た時、私の心の片隅がズキンと痛んだ。
そしてまたどんどんと倉庫の方へ歩いていく。
「話は聞きたいんです、ただ……場所を変えてもらえませんか……!」
「…………。」
「アウラさん………!」
アウラさんが倉庫の角を曲がったところを追いかけて角を曲がると、昏い笑みをたたえたアウラさんと目があった。
身体が強張る。そういえばここは訓練場から死角――――――
「………ほんっとに………馬鹿。私を心配してのこのこついて来るところが。純粋なところが。最高に嫌い……!あんたのそういうところ。」
「っ………!」