第26章 落着
やはり行くべきではないのか……そう、当然だ……。
「………なんだ、行くつもりなのか?」
「……医者としては、行くべきなんだろうと、思うんです。」
「……その要件は医者としてのナナに対してなのか、女としてのナナに対してなのかどちらなんだろうな。」
「………医者の私に用がある、とは言われたんですが……。」
「相手の信頼性は?」
「………5割と言ったところでしょうか。」
「――――――ま、決めるのは自分自身だが。相手の言うことを全部鵜呑みにしてちゃ、世の中うまくわたって行けねぇぜ。いい大人ってのは、予防線を張ってるもんだ。」
ゲルガーさんの言葉にハッとする。確かに、エルヴィン団長もいつも何かを決断するとき、全てではないが必要なものには予防線を張って準備をされている。
正直・真摯でいることだけが全てじゃないかもしれない。
「ゲルガーさん、ありがとうございます。」
「おう、ま、なんか困ったら言えよ。アンタのことは、そこそこ気に入ってんだ。」
ゲルガーさんは頭をポンポンと撫でてくれた。