第26章 落着
とにかく注意すべき目星がついてホッとした半面、アウラさんの事が気にかかる。
あの時、彼女の質問に対して私は「そんな関係ではない」と言った。もしアウラさんが本当にリヴァイ兵士長の事を好きだったのなら、その後私とリヴァイ兵士長の関係を知ったら、どう思うだろうか。
……怒りが込み上げるのも、理解できる。
とことん人の気持ちや色恋沙汰に無縁だった私は、リンファの言っていた言葉をようやく理解し始めた。
リヴァイ兵士長にあこがれる女性兵士は多い。リヴァイ兵士長の…いや、誰かの特別になるということは、同じくその人の特別になりたいという大勢の人たちの願いを踏みにじることなんだ。
―――――でも、だからといってリヴァイさんを諦めない。心を強く持って、他の女性たちに恥じないような私でいなければ。
少し、背筋が伸びた気がした。
私はエルヴィン団長にモブリットさんからの情報を報告した。エルヴィン団長は、一瞬なにやら一点を見つめて少し思考を巡らせている様子を見せ、パッといつもの様子に戻った。
「……どうか、されましたか?」
「いや、なんでもないよ。貴重な情報を得てくれたモブリットには感謝しないとね。アウラの動向には十分注意しておこう。」
「ありがとうございます。」