第3章 岐路
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「兄貴!今日の追手は…しつこいねぇ!いつもとはちょっと違うな。」
「ああ………。よそ見してんじゃねぇ、巻くぞ。」
イザベルとファーランと共に、いつものように憲兵団の追手を巻く。いつもなら容易く巻けるはずが、なにやら動きに統率が取れているように感じる。いつもののろまではなさそうだ。
「………次で急旋回だ。」
俺の言葉を合図に、目の前に聳える、地下街を支えるための支柱にアンカーを打ち込み急旋回をする。
奴らはものともせず、同じ動きで追跡してくる。
その時、奴らの背中に自由の翼を見た。
「………おい、………わかってるな?」
目くばせをし、イザベルとファーランは左右に散っていった。奴らは統率のとれたまま、迷いなく追跡対象に貼りついていく。俺には、リーダー格の金髪の男2人が貼りつく。
「………フン……。」
俺は立体機動を駆使し、知り尽くした地下街を飛び抜けていく。ふと、奴らの気配がなくなった。
「巻いたか………。今日の奴らは…厄介だな。あいつらは……」
気を抜いたその一瞬、俺の目の前は反転した。
巻いたはずのあいつらに、俺はあっけなく組み敷かれた。
「くっ………!」
「随分と立体機動を使いこなすじゃないか。…なかなか手を焼いたよ。見事だ。」
金髪、碧眼のリーダーの男が俺を見下す。
「エルヴィン隊長、こちらも捕まえました。」
「離せ!!!」
「兄貴!!!」
後ろ手に縛られたイザベルとファーランが目に入る。クソ、あいつらまで……!俺一人なら反撃覚悟で一発喉笛に嚙みついてやるところだが……あいつらを盾にとられちゃ何もできねぇ。
「立体機動は、どこで手に入れ、どこで学んだ?」
「……………。」
殺意を込めた眼で奴を見上げる。