第25章 悪巧
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ナナが降って来た日の翌日。
ダンは少し気まずそうに団長室にやってきた。
「――――――なんの話か、分かっていると思うが。」
「………ええ。」
めんどくさいと言わんばかりに頭をポリポリとかきながら目線を泳がせる。この話をできるだけしたくないという気持ちの表れだ。
「単刀直入に聞こう。共謀者は誰だ?」
「……共謀者……?」
「……ナナに手を出そうと一緒に企てた者がいるのではないのか?でなければ、ナナが逃げられないようにタイミング良く内側から施錠されることなど無いと思うが。」
ダンはあぁ、と思い出したような表情を見せた。
「あれは俺も驚きましたよ。まずはちょっと反応を見て、あわよくばそういうオトモダチになれたらいいかな、というくらいのノリだったのに……まるでこっちが強姦でもするかのような雰囲気になっちゃって。」
饒舌にへらへらと笑う様子に虫唾が走る。
……だが嘘はついていない。そこまでの処罰を受けるような事をしていないと認識している、そんな態度だ。
もし本当に陰謀として企てていたとしたら、ここで嘘が出ると思ったが――――――。
「――――――笑う、ところかな?」
私の言葉に、ダンはビクッと背筋を伸ばした。