• テキストサイズ

【進撃の巨人】片翼のきみと

第25章 悪巧




力なく自室の扉を開けると、そこにはリンファがいる。いつもの通り、なにか本を読んでいるようだった。


「あぁナナ、おかえり――――――。」


言いかけてすぐに、持っていた本をバサッと落として駆け寄ってきてくれる。


「なっ………どうした?!」

「…………なん、でも………。」

「なくないだろ!隠すな!!!押し込めるな!!!」


リンファの温かい叱責に、思わずぼろぼろと涙が零れる。

リンファは私の身体の細かい傷を手当てしてくれた。ことのいきさつを話すと、苦虫を噛み潰したような表情で優しく私を抱きしめた。


「あの野郎………!」

「大丈夫、未遂だし………。」

「あんたの根拠のない大丈夫は、信用しないことにしてんだ。」

「…………。」


リンファは少し怒ったような目つきで、私を見た。


「……頼れよ。あたしを。」

「………うん。ありがとう………。」

「――――――協力者がいるのが物騒だな………。このことは、他に誰が知ってる?」

「……エルヴィン団長だけ。リヴァイさんには話してないけど……きっと感づいてる。」

「……そうか。」


エミリーのことは話さなかった。確証を持てていないことで、彼女に疑いの目を向けられたくはなかったからだ。


「ハーネスの部品が意図的に壊されてたあの件も、関係ないとは思えないね。」

「うん………。」

「あたしもこれから探りを入れる。今日のその時間に不自然にいなかった奴を、少しでも絞れるように。」

「……ありがとう……、でも……無理しなくて……いいから……。」

「ねぇ、ハンジさんに相談するのはどう?モブリットさん経由なら、一般兵の方に探りをいれてもらえるかもしれない。」

「……うん。明日、自分で相談してみるね。」


/ 3820ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp