第25章 悪巧
「い、いえ……すみません………。」
「――――――とにかく共謀者はいない、ということか?」
「……はい。」
「わかった。一般兵の君は完全に兵団規則を当てはめることは不可能だが、それでも兵士への不適切な言動は処罰に値する。処罰は追って伝える。あともう一つ――――――。」
「……は?」
「私は自分の物に手を出されることが嫌いでね。」
「―――――………。」
「知っているかな?壁外で最も巨人と遭遇率が高く、死亡率が高い班はどこか。」
「い……いえ………。」
「――――――これ以上ナナに妙な事をしないことだ。……急な班の変更を考えなくてはいけなくなるからね。」
「―――――っ……は、はい……失礼、しました……。」
凍てついた目で口元に笑みをたたえて告げる。
ダンのようにヘラヘラと人当たり良く世渡りしようとするタイプには、権力による底知れぬ恐怖を感じさせたほうが良い。これで大人しくなるといいが。
さて、共謀者がいないのならあのハーネスの一件も偶然だというのか?
いや、あり得ない。
何かあるはずだ。
おそらくそれを解明するための材料はおそらく、すぐに集まるだろう―――――――――