第25章 悪巧
「団長と兵長を虜にしているその身体を、ぜひ俺も試してみたいなと思って。いいよね、彼らは自室があって……君を誘い込んでは、代わる代わる楽しみ放題ってわけだ。」
その表情は下衆な笑いをたたえている。体中の血液が冷え切る感触。
リヴァイさんを、エルヴィン団長を侮辱するような事をその厭らしい笑みで言われるだけで押さえ切れない怒りが込み上げる。
「――――――謝ってください。」
私はダンさんの方を振り返り、睨み付けた。
「え?」
「リヴァイ兵士長とエルヴィン団長を侮辱したことを、謝って………!」
彼らがどんな重圧の中、どんな過酷な仕事をしているかも知らないで………!許せない……!
「怒っても可愛いねぇ。」
その圧倒的体格差と力の差からか、私の威嚇は受け取ってすらもらえず、意味をなさない。
だがそれが少しの冷静さを私に差し戻した。
「無理矢理は趣味じゃないから、楽しんでほしいな。君にも。」
耳元で囁かれるその声に、身の毛がよだつ。
兵服のジャケットの下の白いブラウスに手を這わされ、力を込めて無理に開かれたことでボタンが飛んだ。
その下には、リヴァイさんに散りばめられた跡がいくつも残っている。
「やめて!」
「………へぇ、やっぱり。清純そうな顔してやらしいな。これは誰の所有印?団長?兵長?」
私はその腕をすり抜けようと身を屈めたが、ジャケットの襟を掴まれてダンさんの腕に引き戻される。
咄嗟に私はジャケットを脱ぎ捨て、屋上の隅まで逃げた。
ふと見ると、その景色は見覚えがある。
高さは違えど、毎日景色を見てる。この真下は――――――――