第25章 悪巧
「いっ………います………恐れ多い…のですが………。」
「へぇ……!もし嫌じゃなければ、どんな人か、聞きたいな。」
エミリーは私と同じように膝を抱えて顔を埋めたまま、小さく呟いた。
「えっと………髪が、キラキラしていてとても綺麗で……その……目も、見ているだけで、吸い込まれそうになるんです。………私なんかが話すのもためらうほど……頭が良くて……優しくて……っ………!」
「………ふふっ、……大好きなんだね、その人のこと。」
「……そして―――――どこか、放っておけない……。側に、いないと……って……彼は完璧なのに、どこか、危うくて。」
「――――――なんだか、分かる気がする。」
「え?」
「完璧なようで、脆くて………側にいたい……その気持ちは、すごく、わかるな。」
「――――私から見れば、ナナさんもそうですよ。」
「えっ!……私はもともと完璧でもなんでもなくて……そう、いつもリヴァイ兵士長に呆れられては、落ち込んでばっかりなの。」
私はふふっと笑って見せる。
「―――――それでも、好きなんですか?」
「――――――大好き。……そう、きっと、リヴァイ兵士長に出会ってなければ、今私はここにいないから――――――。」
「………っ………ナナさん、私―――――――。」
「あれ?先客か。」
扉を開けて、誰かが屋上に上がってきた。聞き覚えのある声だ。
「ダンさん?」
「――――あぁ、ナナさんか。あと……そっちのお嬢ちゃんは……。」
「エミリーです。」