第24章 誕生日
私は言われた通り紅茶を淹れて、ソファに座った。リヴァイさんも不機嫌そうに、ドカッと横に座った。
「――――――なぁナナよ。」
「はい。」
「お前は俺の女だと思っているんだが?」
「はい。」
「お前は俺の誕生日にはクリスマスだのなんだの言って、たいそう盛り上がっていたよな?」
「はい。」
「………なんでてめぇの誕生日は黙ってんだよ。」
「……忙しいかなと思ったのと、特に言う必要性も感じなかったので……。」
「……いやあるだろう、言う必要が。」
「あるんですか?」
「……気の利いたプレゼントひとつ、用意できなかったじゃねぇか。」
私は思わずふふっと吹きだした。
「……素敵な絵、とってもとっても嬉しかったです。」
「………なんでわかった。あいつらが言ったのか?」
あ、リヴァイさんがわずかに怒ってる。
……誰が描いたかを言わない約束だったのだろうか。
「わかりますよ。……すごく不器用な愛情の表し方がリヴァイさんそのものだったから。」
「………あんな下手くそな絵をもらって何が嬉しいんだ。そもそも女ってのは宝石やら、服やら、靴やらねだるもんだろうが。」
「…………そうですね、私は欲張りなので……。」
「………他には何が欲しいんだ。言ってみろ。」
「………リヴァイさんの初めてが、全部欲しい。」
「…………。」
リヴァイさんが少し目を見開く。
私はよくこの顔を見る。想定外のことを言われた時のリヴァイさんの顔。毒気を抜かれたかのような、そんな顔。