第24章 誕生日
「誰かに絵を贈ったことは、ありますか?」
「―――――いや、ない。絵を描いたのすら、初めてだ。」
「――――ほら。私には何よりのプレゼントです。」
思わず満面の笑みがこぼれる。
リヴァイさんがまた、片手で目元を覆って黙ってしまった。
時折私は彼をこんな風に呆れさせてしまう。
でも仕方ない。今のは紛れもなく私の本心なのだから。
「―――――ついでにもう一つあるな。」
「はい?」
「こんなに誰かに溺れたのも、お前が初めてだ。」
その眼でまた私を侵食する。その手が、私の頬に触れる。
「お前が生まれて来てくれて良かった。――――――俺のナナ。」
甘い甘い口づけを何度も落とされ、溶かされる。そのままソファに押し倒された。思わずそのまま全てを受け入れそうになってしまうが、これはマズい。
このままだと、また知らぬ間に意識を飛ばされてしまう。
「…………ダメです………。」
「……あ?」
リヴァイさんの口に手を当てて顔を離すと、少し不機嫌にその眉がしかめられた。
「部屋でリンファが待っているので、今日はもう、帰らないと。」
「………手短にヤる。」
「……ダメです。手短にできた覚えもないですし。」
「……………。」