第24章 誕生日
「ナナです。」
「あぁ、入れ。」
「失礼します。」
リヴァイさんが机で資料に難しい顔で目を通したあと、目線をあげて私を見上げた。
「………ずいぶんめでたいナリしてんな。」
「えっ、あ、これ………。」
そういえば花かんむりをつけたままだった。
「要件はなんだ。」
あ、お仕事モードだ。
ちぇっと少し残念に思いながら、忙しい事も理解しているつもりの私は手短に要件を話した。
「素敵な誕生日プレゼントを受け取りました。ありがとうございます。」
「―――――――なんのことだ。」
「…………。」
「そもそもお前が今日誕生日だってことは、聞いてねぇが?」
リヴァイさんは頬杖をついて私を睨んだ。
そういえば私からは誕生日だって言ってない。そのことに、拗ねてるんだ。
――――――この人は、なんて可愛いのか………。
「――――――すみません、では私の勘違いだったようです。」
「…………。」
「――――――では、お忙しそうなのでこれで失礼します。」
「おいおいおい待て待て待て。」
「何か?」
「……紅茶を淹れて、そこに座れ。」
「………はい。」
私は顔が綻ぶのを我慢できていないかもしれない。今にも吹きだしてしまいそう。
リヴァイさんにこんな一面があるなんて、嬉しい発見だ。