第23章 扇揺 ※
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「―――――では、もうこれ以上の調査兵の出陣はさせないお考えなのですね。」
「あぁ。………一般市民が巨人を引き付けている間に仕留めることが優先だ。速やかに討伐できる力量の者たちを中心に60名を出す。」
「一般兵から編入させた4名は、60名に含まれますか?」
「いや、あくまで編入は訓練レベルを上げるための組織内の話だ。出撃班編成の時は、一般兵として考えるよ。……まぁ実力は加味して分散させるなどは考えるが。」
「……なるほど。わかりました。」
「君が編成に尽力してくれているところ悪いが、今回の奪還作戦には調査兵団から医療班は出さない。オーウェンズ家から派遣される医師が班に1名つくことになりそうだ。」
エルヴィン団長が決定した内容が書かれた書類を一瞥し、手早く資料を整えて答えた。
「――――――承知しました。」
「……納得したのか?」
「はい。」
「意外だな。もっと噛み付かれるかと思ったよ。」
エルヴィン団長はふっと笑う。
「この作戦の答えとして何を見出すのかは、理解しているつもり、です。」
「……さすが私の右腕だ。」
「それに―――――――――きっと、耐えられないと思うので………。」
「うん?」
「今医療班に属してくれている子たちは、その目の前で………たくさんの人が死んでいくことに………。」