第23章 扇揺 ※
「………なんだよ、誰だよ勝ち目のない人って。」
「あそこでこっち睨んでるじゃねーか。」
「!!リヴァイ、兵士長………!?」
「十中八九、あの人の女だろ。」
「………おい、グンタとか言ったな。なぜそう思うんだよ!お、俺は本気でナナさんのこと……!」
「お?マジのトーンじゃねぇか、オルオ……だっけか?」
グンタは茶化すように無遠慮にオルオに肩を組んだ。
「やめろよ!ナナさんは、俺の名前を呼んで……微笑んでくれたんだ。兵士長だからってなんだ、可能性がないわけじゃないだろ。」
「へぇ……熱いねぇ。俺ならそんな無謀なことはしないけどな。一番強い男が一番美しい女を手に入れるのは、この世の理じゃねえか。……ま、面白れぇから応援してやるよ!」
「ちょうどナナさんそろそろ誕生日なんだよな?確かエミリーが言ってたぜ。オルオ、チャンスじゃねぇか!」
「そ、そうだな……考えてみる……。」
「フラれたら盛大に慰めてやるよ!!」
なにやら盛り上がってやがる。いざこざを起こすようなら締めておくか……とも思ったが、グンタ、あいつがいるなら大丈夫だろう。歳の割に頭が切れる。判断も悪くない。……一般兵の中ではかなりの逸材だ。