第22章 朋友
食事を終えて部屋に帰ると、リンファが窓の外の雪を眺めていた。
「リンファ、今ちょっとだけいい?」
「ん?」
私は掌に乗るほどの小さな紙袋を手渡した。
「開けて?」
「………?」
リンファはガサガサと紙袋を開いて、それを見て目を少し見開いた。
「立体機動の授業料として受け取ってくれる?」
「これ………。」
リンファの手に小さな深い赤の口紅が握られている。
私はリンファの横に座って、リンファの顔を覗き込んだ。
「似合わなくなんてない。リンファは綺麗なの。誰がなんと言おうと、私はそう思う。雪だって、リンファは汚れたら元に戻らないって言ったけど、雪は解けて、形を変えて水になって、何度だって清廉さを取り戻す。だから、自分を綺麗じゃないって決めつけないで欲しい。」
リンファがゆっくりと私のほうを見て、一筋の涙を流した。
「あたし、綺麗になれる………?」
「なれるよ。」
リンファが肩を震わせて泣いた。