• テキストサイズ

【進撃の巨人】片翼のきみと

第22章 朋友




「あいつはさ、昔から面食いで……あんたみたいに可愛い子にばっかすぐ惚れてはフラれて、そのたび泣き言を聞くのがあたしの役目なんだ。」



リンファははは、と少し乾いた笑みをこぼした。リンファの美しさには、影がある。ずっと前からそれに気付いていた。



「サッシュさんは、リンファが側にいてくれるのが当たり前なんだね。」

「――――――かもな。」



なぜか、弟を思い出した。

私はロイのことを、側にいて当たり前だと思っていた。自分が彼を傷付けているとも知らずに。



「――――――それが、辛いの………?」

「………!………なんで……そんな、こと………。」

「違ったら謝る。でも、なんだか苦しそうな笑顔に見えたから。」

「…………。」

「―――――もしかしてリンファの好きな人って――――――――。」

「………ダメなんだよ、どうやったって。あいつは、綺麗な子が好きだから。」

「リンファは、綺麗だよ?」

「――――――違う、あたしは――――。」




リンファはふと窓の外に目をやった。空から舞い落ちる雪を、目を細めて疎ましそうに見つめる。




「綺麗じゃ、ない………。」





そんなことない、とは、言えなかった。

私の言う綺麗と、リンファの言う綺麗は明らかに違うものを指していたから。

リンファが何を言っているのか、その時はまだわからなかった。

/ 3820ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp