第22章 朋友
「あいつはさ、昔から面食いで……あんたみたいに可愛い子にばっかすぐ惚れてはフラれて、そのたび泣き言を聞くのがあたしの役目なんだ。」
リンファははは、と少し乾いた笑みをこぼした。リンファの美しさには、影がある。ずっと前からそれに気付いていた。
「サッシュさんは、リンファが側にいてくれるのが当たり前なんだね。」
「――――――かもな。」
なぜか、弟を思い出した。
私はロイのことを、側にいて当たり前だと思っていた。自分が彼を傷付けているとも知らずに。
「――――――それが、辛いの………?」
「………!………なんで……そんな、こと………。」
「違ったら謝る。でも、なんだか苦しそうな笑顔に見えたから。」
「…………。」
「―――――もしかしてリンファの好きな人って――――――――。」
「………ダメなんだよ、どうやったって。あいつは、綺麗な子が好きだから。」
「リンファは、綺麗だよ?」
「――――――違う、あたしは――――。」
リンファはふと窓の外に目をやった。空から舞い落ちる雪を、目を細めて疎ましそうに見つめる。
「綺麗じゃ、ない………。」
そんなことない、とは、言えなかった。
私の言う綺麗と、リンファの言う綺麗は明らかに違うものを指していたから。
リンファが何を言っているのか、その時はまだわからなかった。