第251章 〈After atory〉紲 ※
「いつまでも綺麗なままだ。」
「ちょっとは変わりましたよ?少しだけ……強くなったでしょ?」
「あとエロ」
「それはいいんです言わなくて。」
「――――母親になったのも、そういや変化だな。」
「ふふ、はい。それに――――リヴァイさんも変わりました。」
「……そうだな。」
ナナはふふ、と笑うと、俺の腕の中に収まって胸に寄り添った。
「ありがとう、って……言ってくれるようになった。」
「…………。」
「守るだけじゃなくて、私を信じてくれるようになった。」
「…………。」
「閉じ込めずに、遠ざけずに……一緒に生きることを望んでくれるようになった。」
「…………。」
「――――家族を持つことを、願ってくれるようになった。」
ナナがぎゅっと、俺にしがみつく。
その髪を撫でて、手に持っていたクローバーをいつの日かのようにナナの耳元に飾った。
「お前だからだ。」
「…………。」
「お前とだから生きていける。――――変わって、いくとしても。」
俺の言葉を聞いてナナは顔を上げた。
そして耳元にあしらわれたクローバーに手をやった。それは珍しい、幸運をもたらす四葉のクローバーなんかじゃない。
どこにでもありふれたただのクローバーだ。
ナナは指先でそのクローバーに触れながら、笑った。
「―――――幸せだねぇ?リヴァイさん。」