第21章 耽溺
そこに、遠くで扉をノックする音が聞こえる。執務室だ。
「――――――ちっ………。」
俺はしぶしぶ自室から執務室へ戻り、ノックされた扉を開ける。
「あぁリヴァイ。夜遅くにすまない。どうしても奪還作戦の兵配置で気になることがあってな。」
「あぁ………。」
「団長室で話せるか?」
「―――――――いや、ここでいい。入ってくれ。」
わざとらしく顎でソファに座ることを示唆する。
こいつは必ず気付く。そしてどうする?
「………お取込み中なら、明日にするが?」
部屋に入る前から、薄く笑うその顔が気に入らねぇ。
「………何のことだ。入れよ、重要な話なんだろ。」
「――――そうか、ではそうさせてもらおう。」
エルヴィンが部屋に足を踏み入れる。
「それで……兵の配置だが―――――――。」
奴はなんの動揺も見せず、資料を広げて話を進める。1時間弱話を詰めたあと、エルヴィンが伸びをした。
「なぁリヴァイ。そこのブランデーと同じ物を一杯くれないか。」
「―――――飲んだら、帰れよ。」
「あぁ。」
グラスにブランデーを注いで手渡す。
「もう一つだけ、話しておきたいことがある。」