第251章 〈After atory〉紲 ※
白い家に戻って、買ってきたものを仕分ける。
「――――これ今晩、どう調理しましょうか。」
その手を止めて、ナナが赤黒い肉の塊を取り出した。
「あ?知りもしねぇのに買ったのか?」
「はい。」
「…………。」
「これ、私の病気によく効く成分が豊富に含まれているんです。」
「………そうなのか。」
「はい。動物の肝臓……、もちろん今は精製された薬を飲んでいるのでそれで事足りてるんですけど。この成分が効くんだってわかったのは……」
「―――――のは、なんだよ。」
ナナが口ごもるその先を促してみると、懐かしい友を思い出すように小さく言葉を続けた。
「――――サシャが、教えてくれたからわかったんです。」
「……サシャが?」
「はい。いい機会だから……食べてみたくて。でも確かに調理したことないからよくわからな――――」
困った顔をしながら、あらゆる角度からその塊を見てはうーん、と頭をひねるナナの手からそれを受け取る。
「リヴァイさん?」
「確か焼くだけで、と言っていた。味付けは濃くしろ、とも。」
「あ、はい。」
「――――わずかでもお前の病が軽減するなら、毎日食わせる。任せろ。調理法だって見つけてやる。」
俺の言葉を聞いたナナは、肩をすくめて頬を染めている。
「~~~~……リヴァイさん、それ……私のこと、大事……なんですね……?」
「あ?当たり前だろうが。」
「……嬉しい、です……。」
「精力もつくらしいしな。」
「!!……またエロ兵長が出てる。」
そんな馬鹿なことを言い合いながら、時間をかけて夕食の準備をした。
ナナは不器用だがとにかく覚えがいい。
一度教えた料理は時間はかかりながらも、すぐに作れるようになる。だがいまだに『料理ができない』と言うのもまた俺に甘えているからなんだろう、可愛いなと思う。