第251章 〈After atory〉紲 ※
「旦那!!これはどうだい?新鮮だからね!美味いよ!!」
また数歩歩いたところで今度は精肉店のおばさまに捕まってしまう。おそらく私たちがフルーツを山盛り買っているのを見て、いい客だと思ったのだろう。
「おやぁ!!おったまげた美男美女だね。羨ましい!それに……新婚さんかい!」
私たちの指にチラリと目をやって、恰幅のいいおばさまはいいねぇ、と豪快に笑った。そしてリヴァイさんの側にそっと寄って、にんまりとしながら何やら耳打ちをした。
それは私には聞こえなかったけど、リヴァイさんの返答に何を言われたのかは大体の想像がついた。
「――――必要ねぇ。精なんぞつけなくても有り余ってる。むしろ―――――」
「リヴァイさん?!」
それはそうですけど!
全く衰えず、人類最強を毎夜実感してますけれども。
何を人様の前で赤裸々に言っちゃってるんだろう……?!ハンジさん、そうハンジさんみたいだ……!
やっぱりエルヴィンといいハンジさんといい、近くですっごい見守ってくれてるんじゃないかと思う。時々乗り移っちゃてるんじゃないかと思うほど。
大事なフルーツを抱えているから、リヴァイさんの口を塞ぐこともできず、私は真っ赤になって口をパクパクさせた。
「おんやぁ、羨ましい!!こんないい男に……ねえ!!奥さんも頑張んないとねぇ!」
「は……はい………。」
顔から火が出そうになりつつ、でも私も……その食材を食べたいと思っていた。
「あ、あの……それ、ください。」
「あ?お前ずいぶんやる気―――――」
「リッ、リヴァイさんはちょっと黙ってて……!?」
「…………。」
リヴァイさんを思わずキッと睨みつけると、リヴァイさんは拗ねたように少しだけ唇を尖らせた。