第251章 〈After atory〉紲 ※
水を置いておけるようなサイドボードに目をやると、ほんのわずかにそのサイドボードの引き出しが開いている。
「………なんだ?」
そっとその小さな引き出しを開けると、中には一枚の小さなカードが入っていた。カードを手に取ると、メッセージが書かれている。俺はそのカードを一読する。
「………ちっ………。」
くしゃ、とそのカードを丸めてポケットに突っ込んだその時、ナナの足音が聞こえた。コンコン、と小さく控えめにノックされたことに返事をすると、小さく扉が開いてナナが顔を出した。
「――――リヴァイさん?紅茶入りました……。」
「ああ。」
「なにしてるんですか?」
「ベッドを整えてた。」
「―――――………。」
ナナは俺の言葉を聞いて、なぜか目を開いた。
「あ?どうした?」
そして吹きだすようにしてふふ、と小さく笑う。
「なんだよ。」
「いえ?――――月が綺麗です。せっかく綺麗にしたテラスで頂きませんか?」
「………ああ、悪くねぇ。ただし体を冷やすなよ。」
「ふふ、はい………。」